13Jun
■症状の見方というのは様々ありますが、その1つとして、機能性のものと器質性のものという考え方があります。
たとえば、ドアの開閉がうまくいかないとします。
この場合、蝶番の箇所のネジがゆるんでいたなら、これを締めてやると、即座に問題が解消します。
こういうのは、機能異常です。
これに対して、蝶番が錆びて腐っていて、蝶番が壁に固定できなくて、開閉がうまくできないという場合もあります。
この場合は、いくらネジを締めてもうまくいかない可能性が高く、結局は蝶番自体を交換しないと奏功しないと思われます。
■人の身体にも、同じようなことが当てはまります。
ちょっと筋肉や関節、あるいは経絡の調整をしたら、すぐに良くなったとすると、こういうのは機能的な問題と考えられます。
これに対して、組織が腐っている場合・・・これは往々にしてガンだったりしますが・・・これはオペで組織を取り除いたり、代替となる組織に交換する必要があります。
こういうのは、器質的な疾患と言えると思います。
■難しいのは、
1.機能性と器質性の問題が混在している場合があることと、
2.器質性の問題でありながら、機能を改善させることで、一時的に良くなったように感じる場合がある
ということです。
■2に関する例をあげてみます。
たとえば、ビタミンB群の欠乏により、脚気になったとします。
このため、足が重だるいという症状を訴えている人に対し、足三里にお灸をすえたら、足が軽くなりました~!という場合があるかもしれません。
しかしこれは、ビタミンB欠乏という根本問題に対処していませんから、一時的に足が軽くなったとしても、問題はますます進行してしまうことは避けられません。
■同様なことは、以下のようなありがちな問題にも見られます。
ストレスがあって、副腎に貯蔵されているビタミンCが消耗されているとします。
これに対して、副腎の機能を高めてしまうと、たとえ一時的に元気になったとしても、残り少なくなった副腎のビタミンCが消耗し続けられることになり、問題が先送りされながら、ますます良くない方向に進んでしまうことになります。
そして、いよいよ副腎に貯蔵されているビタミンCが底をついてしまうと、副腎が疲れ切ってしまい、この状態に至ってしまうと、おそらく回復するには半年とか1年という単位の時間が必要になることでしょう。
スポーツ選手でいうと、こういうのが「スランプ」という状態なのかもしれません。
■器質性の問題に機能改善で対処してしまうと、一時的に良くなったように感じるとしても、問題が先送りされ、さらに重篤な状態に陥ってしまうリスクがあります。
こんなんだったら、(機能の)治療などしない方がマシかもしれません。
代替療法が世間で批判を浴びることが多々あるのは、まさにこのような図式があてはまるケースが少なくないからかもしれません。
■症状の機能性・器質性を見極めるというのは、話としては単純ですが、そう簡単なことではなく、しかしながら個人的にはきわめて重要なことと考えています。
もちろん、この問題は何十年も前から考え続けてきたことですが、長い時間を経て、最近、やっと手がかりが掴めてきました。
1つ、言えるのは、昔と違って複雑な世の中ですから、1つの方法論であらゆる症状に対処するのは難しいということです。
手やハリなどの物理療法をいかに極めようが、それだけで対処できることには限界があるように感じます。
やはり様々な分野を広く研究し、適切に機能性と器質性の疾患に対処するというのが、治療において重要なのではないかと思います。
■コロナの影響で幽閉蟄居していたお陰か、非常に長い時間がかかりましたが、やっと少しばかり手がかりらしきものが得られるようになってきました。
あと10年ほど研究し、その時点で生きていたら、何か発表できることがあるかもしれません。
関連記事
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。